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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻10号

1988年10月発行

文献概要

研究と報告

いわゆる非定型精神病の一群の診断と分類に関する調査

著者: 高橋三郎1 飯田英晴1 藤縄昭2

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座 2国立精神・神経センター精神保健研究所

ページ範囲:P.1107 - P.1113

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 抄録 非定型精神病とよばれる一群の診断基準と分類について,我が国精神科医の平均的意見を知る目的で,51項目のアンケートを全国80大学精神科教官170名に発送し60%の回答を得た。結果から,いわゆる非定型精神病の一群の存在を認める者は90%で,この一群全体の名称は,非定型精神病とする者とICD-10案のごとく急性一過性精神障害とする者が相半ばした。診断基準としては,ICD-10案の3項目(急性の発病,はっきりした精神病症状,3カ月以内に寛解)に支持が多いが,一方,意識変容の存在,病像の多様性と混合性をあげた者も多い。分裂感情障害の位置づけでは,感情障害の外におくという者が最も多いが,不要を主張した者も30%に上る。
 結局,いわゆる非定型精神病の概念について,ICD-10案に準じる現代的な考え方と,Kleist-Leonhard派からの伝統的な考え方があることがわかったが,この2つの方向性は,回答者をはっきり2群に分けるほどではなく,かなりの者が,この2つの方向を適宜取り込んでいることが示された。数量化3類による分析でも,病型分類における各カテゴリーの組み合わせ方に,この2つの方向を混合した考えのあることが推測された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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