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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻10号

1988年10月発行

文献概要

研究と報告

デキサメサゾン抑制試験とうつ病の症状,重症度および治療反応予測

著者: 永山治男1 長野浩志1 池崎明1 田代哲男1

所属機関: 1大分医科大学精神神経医学教室

ページ範囲:P.1123 - P.1131

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 抄録 うつ病入院患者(DSM-Ⅲ)30名に,デキサメサゾン抑制試験(DST)およびHamiltonうつ病評価尺度他の臨床状態評価を入院当初とclomipramineによる4週間の治療後の2回行った。DST非抑制は初回テストの15名(50%)が再テストでは6名(20%)に有意に減少した。両回ともに非抑制群は抑制群よりも有意に重症であった。デキサメサゾン投与後の最大cortisol濃度(DST後値)は両回ともに重症度と相関した。DST後値の相関する症状は「内因性症状」が主であったが,診断亜型とは一定の関係を示さなかった。また,初回DSTを用いて4週間後(治療後)の臨床状態あるいは臨床改善度を予測することは不可能であった。以上から,うつ病においてDSTはそれほど特異性の高いテストではなく,治療反応性の予測における有用性も認められないが,臨床重症度を測るテストとしては有用であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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