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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻10号

1988年10月発行

研究と報告

作業能力の低下した精神分裂病患者の社会復帰の実態とその治療技法

著者: 岩波明12 安西信雄1 原田誠一1 金生由紀子1 中込和幸13 横田圭司1 熊谷直樹1 佐々木司1 式場典子1 宮内勝1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2東京都立松沢病院 3帝京大学精神科学教室

ページ範囲:P.1133 - P.1140

文献概要

 抄録 東大病院精神神経科Day Hospital(DH)に通院した69名の精神分裂病患者を対象に,DH通院期間中の集団生活場面における作業能力を評価した。この評価から精神分裂病性欠陥により作業能力の低下が著しい群(低作業能力群)を定義し,低作業能力群(23名)とその他の群(46名)の臨床的特徴,就労期間率(就労に従事していた期間の割合)を比較した。その結果低作業能力群のDH終了後2年までの就労期間率は63〜64%であり,これはその他の群とほぼ同等の値であった。一般に作業能力の低さは就労に不利な条件であるが,患者の能力に応じた就労援助を行うことにより,この不利な条件をかなりの程度カバーしうると考えられた。これらの患者の就労援助の経験から①治療関係の確立と就労の動機づけ,②再発予防対策の明確化,③適切な職場の選択,④雇用主への協力依頼と連携が重要であることを述べ,最近議論になっている精神障害における障害概念と関連させ考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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