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研究と報告
精神科デイケアの治療的意義—Identity障害の1女性例の経過から
著者: 笠原敏彦1 阿曽加寿子1 大西由美子1 徳本栄子1 佐藤恵美子1 安達克己2 深沢孝克2 上野武治2
所属機関: 1北海道大学医学部附属病院精神科神経科 2北海道大学医療技術短期大学部
ページ範囲:P.1141 - P.1147
文献購入ページに移動精神障害者の社会復帰過程は,「being」と「doing」の密接な相関的発展によって進行することは言うまでもないが,精神分裂病者の場合には,基本的には前者から後者への方向で理解されることが多い。ところが,本症例の立ち直りは,後者から前者へと向かうことによって得られた。また,デイケアの集団療法的側面だけではなく,個人療法的対応の重要性が示唆された。要するに,精神科デイケアは多様で多義的な治療活動であり,意欲や作業能力の増強が期待される慢性期の精神病者に限らず,人格発達や対人経験を必要とするような神経症圏の症例に対しても有効であると考えられた。
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