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雑誌目次

論文

精神医学30巻11号

1988年11月発行

雑誌目次

巻頭言

向精神薬の現在

著者: 融道男

ページ範囲:P.1174 - P.1175

 1952年に向精神薬療法が始まって以来,その後三十数年の間に精神科臨床で使う薬は質量ともに飛躍的な進歩を示した。
 1957年にはimipramineの抗うつ効果が見出され,1960年にはchlordiazepoxideに不安を軽減する作用のあることが確認された。

展望

総合病院におけるリエゾン精神医学

著者: 小林建太郎 ,   渡辺昌祐

ページ範囲:P.1176 - P.1186

I.はじめに
 この10年間の日本における精神医学で最も関心を集めている分野の1つがリエゾン精神医学である。リエゾン精神医学とは身体医療を受ける患者の心理・社会面にかかわる問題を積極的に取り上げ,それに対して精神科と臨床各科の連携に基礎をおく診療,教育,研究活動を行う領域であり58),精神科と各科を結ぶ掛け橋で対話の場である。
 リエゾン精神医学はConsultation-liaison Psychiatryと呼ばれるように,その臨床活動をコンサルテーションとリエゾンの2つに大別することも可能である59)。コンサルテーションとは従来から行われてきた他科からの要請に応じるどちらかといえば疾患中心的,よりpassiveな活動なのに対し,リエゾンはより組織的な活動で他科との連携を確立し,様々な治療関係に働きかけるactiveな関係中心的臨床活動といえよう。この論文ではコンサルテーションとリエゾンを合わせた意味としてリエゾン精神医学という言葉を使用した。

研究と報告

対人恐怖と分裂病—森田療法の治療の場を起点として

著者: 北西憲二 ,   吉田則昭 ,   松沢信彦

ページ範囲:P.1187 - P.1195

 抄録 森田療法の治療構造との対応から,対人恐怖の恐怖症段階のもの,重症例,前分裂病例の特徴とその病理を比較検討した。治療の場の対人関係の移行の様式では恐怖症段階のものは比較的スムーズに,重症例では激しく揺れるが,前分裂病例では移行の様式は平坦である。治療の場への一体感は,恐怖症段階のものでは全体的で集団での相互作用が明らかだが,重症例ではそれが限局的,幻想的で,前分裂病例にはそれが出現しない。
 森田療法の治療の場の二面性のうち,前分裂病例では受容的側面よりも,現実原則の理念の形式的先取りが顕著で,それにより対人恐怖症状をあたかも乗り越えたように振る舞う。性格傾向として重症例になるほど弱力優位となるが,二極的矛盾構造が認められる。前分裂病者ではそれらの傾向は見出せない。

強迫神経症のうつ病近縁性についての一考察

著者: 中嶋聡

ページ範囲:P.1197 - P.1204

 抄録 我々は,強迫症状を主症状とし,一般には強迫神経症と診断されると思われる2症例に関して,その症状の背後に観取されるうつ病的ニュアンスに注目し,これらの症例のうつ病近縁性について考察した。その結果,抑うつ気分,あるいは抑止などといった,うつ病に典型的な症状は明瞭ではなかったものの,強迫症状の発症基盤として,過去の未済,ないしは喪失という体験様式が認められた。このような体験様式は,Strausないしはvon GebsattelのいうWerdenshemmungの表現形と考えられ,この点に,これらの症例のうつ病との近縁性を求めることができるように思われた。さらに,Werdenshemmungが典型的なうつ病として現象せずに,強迫症状の形で現象した理由について,病前の人格構造との関連において考察を加え,我々の症例に認められるいわゆる「片意地の強さ」が森田の言う「精神の拮抗作用」の機制によってWerdenshemmungとの間で葛藤を起こしたものと考え,いわゆる「メランコリーの親和型性格」に基づく典型的なうつ病と対比させた。

他科における向精神薬の投与状況(Ⅱ)—内科領域における抗不安薬の調査から

著者: 武市昌士 ,   佐藤武 ,   中川龍治 ,   庄野禎二 ,   園田敏裕

ページ範囲:P.1205 - P.1212

 抄録 著者らは,昭和61年8月1日より半年間の佐賀医科大学附属病院のコンピューター入力処方の中で,精神科コンサルテーションによるものを除いた内科医による抗不安薬の投与状況を調査分析した。全投薬件数は144例あり,その中の42例については,投与形態,投与目的,効果など直接内科医から聞き込み調査を行った。
 使用頻度はジアゼパム93例(62.8%),クロチアゼパム22例(14.8%)の順に高く,投与量は精神科領域と比較すると少量であった。投与目的は,内科医との検討の結果,不眠16例(状況因性と身体因性14例,薬物誘発性2例),不安12例(身体的表現7例,心理的表現5例),身体症状(疼痛,目まい,頭痛など)9例,せん妄4例,けいれん1例に分類できた。本論文においては,抗不安薬投与症例を臓器別系統別に分類のうえ,その代表的症例を呈示し,併せて抗不安薬に関する内外の調査結果と比較検討した。

知覚変容体験を伴った反復性「発作症状」を示した精神分裂病の2症例—「発作症状」の特徴とbiperidenの効果

著者: 樋口久 ,   清水徹男 ,   菱川泰夫

ページ範囲:P.1213 - P.1219

 抄録 長期間にわたって抗精神病薬を服用中の精神分裂病患者2名において,知覚変容体験,高次精神機能障害,運動機能障害等の症状で構成されている「発作症状」が反復して起こる状態を観察した。その2症例にみられた「発作症状」は,連日にわたって夕方に突然起こり,患者にとっては自己異和的な症状であるという特徴を有し,biperidenが症状改善に有効であった。このことから,「発作症状」は抗精神病薬の副作用としての精神症状と錐体外路症状であると考えた。山口(1986)が報告している知覚変容を主とする発作症状と,本2症例の「発作症状」の類似性から考え,山口(1986)の報告している発作症状の大部分は抗精神病薬による副作用症状であった可能性が高いと考えた。また,「発作症状」の成因としては,脳内アセチルコリン系の過活動と脳内ドーパミン系の機能不全が重要であると推論した。

左右の逆転視がてんかん発作として起こったと思われる1例

著者: 西山浩二 ,   坂本哲郎 ,   中沢洋一 ,   稲永和豊

ページ範囲:P.1221 - P.1225

 抄録 突然に空間の左右が反対に見える発作を,過去数回にわたって体験した症例を報告した。発作の持続は数分で,空間の前後の逆転は体験されず,この間の意識は清明で自己の身体の左右は正常に認知できた。脳波検査で主に左の中側頭部に焦点性の棘波が観察されたが,逆転視以外にてんかん発作と考えられる症状はなかった。発作間欠時は身体の左右認知障害やその他の巣症状も認められず,頭部造影X線CT検査でも異常は発見されなかった。空間の前後や左右が反対に見えるものを逆転視といい,脳の器質的障害やてんかんの発作症状として稀に報告されている。従来の報告をみると逆転視の成因には,空間の前後の逆転が左右の逆転に先行すること,身体の左右認知障害や両手利きが背景として認められることを重視して論じられている。著者らの症例の逆転視には前後の逆転は認められず,利き手は右で,その左右逆転視は,脳内の視覚情報処理過程における一過性の機能障害によって生じたものと考えられた。

短報

特異な回復過程を示した全生活史健忘の1症例

著者: 大矢大 ,   桜井文 ,   岸川利枝子 ,   大矢睦 ,   木村定

ページ範囲:P.1227 - P.1229

I.はじめに
 自己の生活史にまつわるすべての記憶を喪失する全生活史健忘は,我が国でも数十例の報告しか見られない比較的まれな症状で,通常ヒステリー性の解離障害として理解されている1)。しかし最近の報告では心因論に加えて病態生理学的要因も示唆されており3,9,11),また病前回復後の抑うつ状態の存在からうつ病との関連も述べられている6,8)。これ以外にも治療的関わりに焦点をあてた報告もある4,10)
 最近,我々は好ましい勤務態度とは反対に,私生活はだらしなく現実否認を繰り返すうちに全生活史健忘を来し,回復過程で一過性の継時的二重人格像を呈した1症例を経験したので若干の考察を加えて報告する。

意識障害,低血糖,代謝性アシドーシスを呈した脳血管性痴呆の1例—ホパンテン酸カルシウム服用例

著者: 田島宣行 ,   矢島英雄 ,   斎藤典彦 ,   矢幅啓孝 ,   佐藤敬司 ,   三田俊夫

ページ範囲:P.1230 - P.1232

I.はじめに
 ホパンテン酸カルシウム(以下HOPAと略)によると思われる急性脳症の報告は1983年杉本ら1)による3小児例に始まり,以来小児科領域においてHOPAと急性脳症との関係はその臨床検査成績,病理剖検の結果からReye症候群2)との関連で報告されてきた3)。しかしHOPAは現れ精神科領域においても,脳血管障害や老年痴呆などに基づく精神症状の改善薬として汎用されている薬であり,成人例においても上述の急性脳症の報告例があっても不思議ではない状況であった。そして1987年1月野日ら4)によって本邦で初めて成人例の報告がなされ,次いで田淵ら5)の臨床報告例が続いた。しかしこれらはすべて神経内科領域からの報告であって,精神科領域からの報告は少ない。今回著者らは諸家4,5)の報告とほぼ類似した臨床症状,臨床検査成績が認められたHOPA服用中の72歳の脳血管性痴呆の女性例を経験したので,その臨床経過を若干の文献的考察を加え報告する。

小舞踏病にてんかん性脳波異常とけいれん発作を伴った1症例

著者: 鮫島哲郎 ,   二宮英彰 ,   鶴紀子

ページ範囲:P.1233 - P.1235

I.はじめに
 我々は左半身の不随意運動と種々の精神症状に脳波異常とけいれん発作を伴い,全体の経過から小舞踏病と考えられる症例を経験したので報告する。

バルプロ酸ナトリウム徐放剤KW-6066 Nの臨床治験

著者: 川原隆造 ,   竹下久由 ,   挾間秀文 ,   竹下研三 ,   林永祥 ,   西川清方 ,   北川達也 ,   西田政弘 ,   釜瀬春隆 ,   笠木重人 ,   高倉廣喜

ページ範囲:P.1237 - P.1240

I.はじめに
 バルプロ酸ナトリウム(D剤とする)は最も有用な抗てんかん剤のひとつである。他の抗てんかん剤に比し半減期が短く速効性である反面,血中濃度が不安定で一定の治療効果を保つことが困難な場合がある。D剤のこのような欠点を克服するために,バルプロ酸ナトリウムの徐放剤KW-6066N(K剤とする)が開発されることになった。D剤とK剤の比較試験を行いK剤の治療効果,安全性,有用性について検討したので報告する。

古典紹介

Paul Julius Möbius:Ueber die Eintheilung der Krankheiten—第1回 疾患の分類について

著者: 山岸洋 ,   波多野和夫 ,   濱中淑彦

ページ範囲:P.1241 - P.1250

A.疾患の分類について(Centralblatt fur Nervenheilkunde,1892年7月掲載)
 いかなる疾患分類が最も良いものであるのか。この問いには種々の視点から答えることができる。科学的な視点から,あるいは理想的医師なるものに鑑みて,まず最初に要請さるべきことは,疾患分類の根拠がただ一つだけであるということであろう。二つ以上の原理を適用することは,ただ非論理的であるばかりでなく,実践上の不利益ともなる。理想的医師が彼の専門領域を最も良く支配するのは,彼がそれを一つの原理に従って分類(区分)する時である。この時,内的に同属するものを包括するような合理的な区別が生じてくることになろうし,その明晰さによって理論上の充足と実践上の便宜がもたらされることになろう。
 直ちに種々の原理を用いてこのことを試みることができる。まず部位というものがある。これによって局所病理学が与えられ,そこでは例えばすべての鼻の疾患,また同様に舌の疾患,口唇の疾患等々が集められることになる。このような局所論には確かにそれなりの利点があるのだが,しかし同一の疾患が種々の異なる部位を冒すことがあり,また多くの疾患において全身が冒されるのであるから,これはもちろん十分なものではない。組織による分類はより良いものであるように見える。骨の疾患,皮膚の疾患,神経系の疾患といった分類である。しかしこれに対しても同じ反論を行うことができる。経過(急性,慢性等)による分類あるいは症状(有熱性かそうでないか)による分類が十分でないことは明らかである。治療法(処方箋かメスか)による分類についても同じことがいえる。さて他のすべての分類が使用できないとなれば,残るのは原因による分類だけである。そしてこれだけが,理論的な立場からも実践的な立場からも,本当に満足のいくものなのである。これに対してなしうるただ一つの異論は,すべての疾患の原因が知られているわけではないということに関するものである(同一の原因が種々の異なる結果をもつかもしれないではないか,という考えはばかげている)。しかしこのような異論は,その原理にではなく,我々が知識をもっていないということに向けられているのであって,したがって時が経てば自然に解決されるものと予測してよい。さしあたり,すべての疾患が二つの部類に分かたれるであろう。すなわち原因の知られている疾患および原因の知られていない疾患の二つである。我々の努力は第二の部類を縮小させることによって第一の部類を拡大することに向けられるのであり,我々の目標は第二の部類を皆無とすることである。もちろんその途上に様々な困難が存在するだろうが,しかしそれらは我々を正しい道から誤った道へと駆りたてる権利をもっているわけではないし,それらを克服しえぬものとみなす理由も全くない。何にもまして忘れてはならぬことが一つある。二つの病像が,症状と出現の仕方と経過において,本当に同じである場合には,その原因も同一であると想定してまず間違いはないということである。このような病像の一致すなわち「臨床単位」を道具(Organon)として用いることによって,実際にはまだ原因がわかっていなくても,我々は進むべき道を見出すことができる。臨床単位というものは本来すでに第一の部類に属しているのであって,遅かれ早かれ臨床単位から病因論的単位が形成されるはずなのである。したがって臨床的分析と病因論における努力は決して対立しあうものではない。臨床単位を創出する人は同時に病因論にも寄与している。ただし次のことだけは想起しておかねばならない。すなわち,臨床的分析だけですべてが終わるわけではなく,我々の道具によって過剰な分割がなされていることもありうるのであって,原因に関する最終的な認識によって臨床上分けられていたいくつかのものが結合されるのだということである。例えば酩酊,急性アルコールせん妄,アルコールてんかん,慢性アルコール症,肝硬変等は一つの枝に咲いた様々な花である。医師は,疾患を認識し,予防し,治療するという三つのことをなさんと欲する。第一の望みは臨床単位によってある程度まで満たされるが,しかしこれをはじめて完全に満足させるものは病因論である。他の二つの望みを満たす(それらが満たしうる限りにおいて)のもこれまた病因論なのである。

シンポジウム 痴呆とパーキンソニズム

レビー小体病の痴呆

著者: 小阪憲司

ページ範囲:P.1253 - P.1261

I.はじめに
 1980年,筆者31)は「レビー小体病」“Lewy Body Disease”を提唱した。これは一つの疾患概念であり,次のように要約される28)
 「主として初老期または老年期に(まれに若年者にも)発病し,慢性・進行性の経過をとる神経精神疾患であり,その基本症状はパーキンソン症状(振戦・筋固縮・寡動・仮面様顔貌・前屈姿勢・小刻み歩行・自律神経症状など)であるが,経過と共にしばしば抑うつ症状や種々の程度の知的能力の障害を伴い,明らかな痴呆を示すことも少なくない。症例によっては,進行性痴呆が臨床像の前景に立ち,その経過中にパーキンソン症状(主として筋固縮と寡動)が加わることもある。その神経病理学的特徴は,中枢神経系(ときに交感神経節)における広範・多数のレビー小体の出現とレビー小体の好発部位におけるabiotrophicな変性であるが,とくに痴呆が目立つ症例や高齢の症例では,大脳皮質に種々の程度の老人性変化(老人斑やアルツハイマー神経原線維変化)を伴うことが多い」。

Economo型脳炎後遺症の臨床病理—他の黒核障害病との比較

著者: 石井毅

ページ範囲:P.1263 - P.1268

I.はじめに
 Economo型脳炎後遺症にみられる臨床症状はきわめて特異であり,知能の障害というより精神症状というべきものである。にもかかわらず,これを皮質下痴呆の一つとして理解しようとする考えがある12)。黒核を中心とする病変をその器質的背景としている故であろうか。この病気の臨床症状には,皮質下痴呆という概念が抱える問題点が浮彫りにされているように思われる10)
 立津17,18)はEconomo型脳炎後遺症の示す特異な精神症状の責任病巣として,黒核の変化を重親し,この症候群に“黒核症候群”の名を与えた。そして,類似の症状が日本脳炎などの黒核病変をもつ病気にもみられると述べている。しかし,Economo型脳炎後遺症の臨床症状は,日本脳炎やParkinson病のそれと似た点はあるにしても,著しく異なっているといわざるを得ない。この病気の患者の多くは被刺激性が高く,自己中心的であるばかりでなく,実際に反社会的な行動に走り,その際道徳観念の欠如と行動の抑制が失われている。このような傾向は日本脳炎後遺症やParkinson病の患者では弱いのではないかと思われる。また,病理学的にEconomo型脳炎後遺症では日本脳炎やParkinson病に比べて縫線背核や中心灰白質のグリオーゼが強いことを指摘した。

パーキンソン・痴呆コンプレックス(グアム)

著者: 村上信之

ページ範囲:P.1269 - P.1276

I.はじめに
 パーキンソン病にしばしば痴呆を合併することが改めて注目され,報告も多くみられるようになった1,2)。また種々の神経疾患の中で,いわゆるパーキンソニズムを伴う一群に痴呆を合併することも同様に注目され,分類整理されてきている3)
 これらの疾患,すなわちパーキンソニズムと痴呆を呈する疾患を時としてパーキンソニズム痴呆コンプレックス,Parkinsonism-dementia complex(以下PDと略)と安易に呼ぶことがあるが,これは本来はグアム島のChamorro人に地域的に発生する特異な神経疾患に与えられた臨床的,および病理学的診断名で,PDは明らかに確立された疾患概念である。本稿ではPDの概説を行い,紛らわしい使い方を避ける意味で,またパーキンソン病やアルツハイマー病,他の類縁疾患とは種々の面で異なることを再認識し,全体像を理解することを目的とする。

痴呆とパーキンソン症候群

著者: ,   新井平伊

ページ範囲:P.1277 - P.1281

 Parkinson病(以下PD)において痴呆が存在するのかどうかについては長い間論議がなされてきた。PDに対する適切な薬物療法が開発されるまでは,PDに特徴的な症状である筋肉の硬直(rigidity)により正常な知的能力が覆い隠されていると考えられたことが多かった。現在では,このような考え方は必ずしも正しいとはいえず,一部のPD患者は明らかに痴呆に陥ると一般的に考えられている。しかしながら,PDにおける痴呆の頻度やその原因といった主要な問題点については未だ議論の余地がある。特に,痴呆を呈するPDは独立した疾患単位であるのか,または頻度の高いもう一つの変性疾患であるAlzheimer型痴呆(dementia of the Alzheimer-type:以下DAT)とPDの単なる合併であるのかという点は問題である。これらの点について現在多くの有用なデータが蓄積されているところである。

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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