icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻11号

1988年11月発行

文献概要

研究と報告

対人恐怖と分裂病—森田療法の治療の場を起点として

著者: 北西憲二1 吉田則昭2 松沢信彦3

所属機関: 1東京慈恵会医科大学第三病院精神神経科 2西熊谷病院 3浴風会病院

ページ範囲:P.1187 - P.1195

文献購入ページに移動
 抄録 森田療法の治療構造との対応から,対人恐怖の恐怖症段階のもの,重症例,前分裂病例の特徴とその病理を比較検討した。治療の場の対人関係の移行の様式では恐怖症段階のものは比較的スムーズに,重症例では激しく揺れるが,前分裂病例では移行の様式は平坦である。治療の場への一体感は,恐怖症段階のものでは全体的で集団での相互作用が明らかだが,重症例ではそれが限局的,幻想的で,前分裂病例にはそれが出現しない。
 森田療法の治療の場の二面性のうち,前分裂病例では受容的側面よりも,現実原則の理念の形式的先取りが顕著で,それにより対人恐怖症状をあたかも乗り越えたように振る舞う。性格傾向として重症例になるほど弱力優位となるが,二極的矛盾構造が認められる。前分裂病者ではそれらの傾向は見出せない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?