icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻11号

1988年11月発行

文献概要

研究と報告

知覚変容体験を伴った反復性「発作症状」を示した精神分裂病の2症例—「発作症状」の特徴とbiperidenの効果

著者: 樋口久1 清水徹男2 菱川泰夫2

所属機関: 1大曲市立病院 2秋田大学医学部神経科精神科

ページ範囲:P.1213 - P.1219

文献購入ページに移動
 抄録 長期間にわたって抗精神病薬を服用中の精神分裂病患者2名において,知覚変容体験,高次精神機能障害,運動機能障害等の症状で構成されている「発作症状」が反復して起こる状態を観察した。その2症例にみられた「発作症状」は,連日にわたって夕方に突然起こり,患者にとっては自己異和的な症状であるという特徴を有し,biperidenが症状改善に有効であった。このことから,「発作症状」は抗精神病薬の副作用としての精神症状と錐体外路症状であると考えた。山口(1986)が報告している知覚変容を主とする発作症状と,本2症例の「発作症状」の類似性から考え,山口(1986)の報告している発作症状の大部分は抗精神病薬による副作用症状であった可能性が高いと考えた。また,「発作症状」の成因としては,脳内アセチルコリン系の過活動と脳内ドーパミン系の機能不全が重要であると推論した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?