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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻11号

1988年11月発行

研究と報告

左右の逆転視がてんかん発作として起こったと思われる1例

著者: 西山浩二1 坂本哲郎1 中沢洋一1 稲永和豊1

所属機関: 1久留米大学精神神経科学教室

ページ範囲:P.1221 - P.1225

文献概要

 抄録 突然に空間の左右が反対に見える発作を,過去数回にわたって体験した症例を報告した。発作の持続は数分で,空間の前後の逆転は体験されず,この間の意識は清明で自己の身体の左右は正常に認知できた。脳波検査で主に左の中側頭部に焦点性の棘波が観察されたが,逆転視以外にてんかん発作と考えられる症状はなかった。発作間欠時は身体の左右認知障害やその他の巣症状も認められず,頭部造影X線CT検査でも異常は発見されなかった。空間の前後や左右が反対に見えるものを逆転視といい,脳の器質的障害やてんかんの発作症状として稀に報告されている。従来の報告をみると逆転視の成因には,空間の前後の逆転が左右の逆転に先行すること,身体の左右認知障害や両手利きが背景として認められることを重視して論じられている。著者らの症例の逆転視には前後の逆転は認められず,利き手は右で,その左右逆転視は,脳内の視覚情報処理過程における一過性の機能障害によって生じたものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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