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短報
特異な回復過程を示した全生活史健忘の1症例
著者: 大矢大1 桜井文1 岸川利枝子1 大矢睦1 木村定1
所属機関: 1関西医科大学精神神経科学教室
ページ範囲:P.1227 - P.1229
文献購入ページに移動自己の生活史にまつわるすべての記憶を喪失する全生活史健忘は,我が国でも数十例の報告しか見られない比較的まれな症状で,通常ヒステリー性の解離障害として理解されている1)。しかし最近の報告では心因論に加えて病態生理学的要因も示唆されており3,9,11),また病前回復後の抑うつ状態の存在からうつ病との関連も述べられている6,8)。これ以外にも治療的関わりに焦点をあてた報告もある4,10)。
最近,我々は好ましい勤務態度とは反対に,私生活はだらしなく現実否認を繰り返すうちに全生活史健忘を来し,回復過程で一過性の継時的二重人格像を呈した1症例を経験したので若干の考察を加えて報告する。
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