文献詳細
研究と報告
中年期精神障害の特徴—外来臨床統計の解析から
著者: 佐藤哲哉1 幸村尚史1 小林慎一1 佐藤新1 飯田眞1
所属機関: 1新潟大学精神医学教室
ページ範囲:P.1311 - P.1321
文献概要
得られた所見は以下の諸点である。(1)精神障害や神経症類型の診断分布は,中年期以降その多彩さを減弱させる傾向があった。この現象はとくに女性で著しかった。(2)中年期に精神障害総数に対する比率を増加させるものは単極性うつ病,両極性うつ病,アルコール依存であり,神経症は各年齢層で平均した比率を示した。中年期に神経症総数に対する比率を増加させる神経症類型は不安であり,男性の恐怖症は中年期にも比率をほとんど減じなかった。(3)精神障害は中年期以降女性の患者が増加し,40歳を境に性比が変化した。(4)神経症の通院月数は40歳以上では男性に比し女性で短かった。単極性うつ病ではとくに男性で中年期以降通院月数が延長した。
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