文献詳細
研究と報告
躁うつ病様症状を呈した46,XY/47,XYYモザイク型XYY男子の1例
著者: 花田進1 三田達雄2 白川治2
所属機関: 1湊川病院 2神戸大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.1345 - P.1350
文献概要
本症例は,18歳頃に発病し,両極型躁うつ病の診断で治療を受けていたが,射精障害の精査で46,XY/47,XYYモザイク型XYY個体と判明した1例である。身体的には,長身で髭がうすく,生殖器の発育不全があったが,内分泌学的検査で異常はみられなかった。精神医学的には,知能は正常,繰り返された躁状態とうつ状態から臨床診断は両極型躁うつ病としてよいと思われた。脳波は軽度異常(θ波の群発)があり,CT検査でも脳室の軽度拡大がみられた。躁うつ病様症状とXYY核型は単なる偶然の一致とも思えるが,躁うつ病様症状発症の一因として過剰なY染色体の関与も疑えた。
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