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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻12号

1988年12月発行

文献概要

紹介

西太平洋地域におけるWHO精神衛生プログラム

著者: 新福尚隆1

所属機関: 1世界保健機関四太平洋地域精神衛生部

ページ範囲:P.1361 - P.1370

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I.はじめに
 1946年に採択されたWHO憲章で「健康とは,身体,精神,社会状態ともに健全なことをいい,単に障害や疾病がないということを意味するものではない。」と定義されている10)。この健康の定義により,WHOの精神衛生プログラムは,存在の基盤を与えられ,その範囲も,精神疾患,神経疾患の予防,治療のみでなく,心の健康の増進を含めた幅広いものとなっている。
 WHOのプログラムは,天然痘の撲滅に象徴されるように,感染症の予防対策,発展途上国での一般衛生状態の改善といった活動が主流を占めている。しかしながら,近年,急速な経済社会状態の変動,疾病構造の変化の結果,アルコールや薬物依存,精神疾患を含めた,ライフスタイルに関連した健康問題が,国際公衆保健の観点からも重要なものになってきた。このため,WHOの活動の主な舞台である発展途上国においても,精神衛生,アルコールや麻薬問題の対策等のプログラムが徐々に増加してきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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