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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻2号

1988年02月発行

文献概要

研究と報告

心気症の精神療法—自己愛的病理の観点から

著者: 近藤三男1 室谷民雄2

所属機関: 1名古屋大学医学部精神科 2名古屋第二赤十字病院精神科

ページ範囲:P.131 - P.139

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 抄録 心気症の力動的構造を医師—患者関係における相互の陰性感情の増幅という事態として理解する。この医師一患者間に生じている事態を転移と逆転移という観点から見ると,患者が医師に対して,自己の誇大感を支持するような役割を一方的に期待してくるために,医師の側ではそれに対する抵抗として種々の陰性感情が喚起されることがわかる。これをKohutに始まる自己心理学派の用語で言えば,自己愛的対象関係ということになろう。
 心気症の治療には,この自己愛という観点が有用であるが,心気症は,その病前性格が広範囲にわたること,強烈な依存関係に陥ることが少ないことなどの点で,自己愛パーソナリティ障害と異なっている。われわれは心気症を自己愛的外傷に対する反応として解釈する。そして,心気症の治療は,「完成された」心気症を前心気症状態に戻す段階・前心気症状態における自己評価の修復の段階の2つに区別するのが妥当であろうと考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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