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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻2号

1988年02月発行

研究と報告

精神障害者に発生する多飲の臨床的諸特性—水中毒準備状態の早期発見に向けて

著者: 松田源一1

所属機関: 1山梨県立北病院

ページ範囲:P.169 - P.176

文献概要

 抄録 病棟内での観察から独自に多飲判別法を設定し,その臨床的特性を調査した。多飲者(群)は48例(19%)あり,精神分裂病の多飲発生率は19%,てんかんと精神遅滞では30%と高かった。検査値から10例(4%)の低Na血症者を抽出したがすべて多飲群に属していた。また多飲群では血清Na値,尿比重ともに正常が34例で多く,大概体液バランスが維持されていた。しかし低値成分(TCH,BUN,Na,Ug)と高値成分(A/G,LDH,K,CPK)で有意の差を示し,これは多飲の重症度に相関して特徴が顕著となっている。水中毒発生率は低Na血・非低比重尿が50%,低Na血・低比重尿が33%,非低Na血・低比重尿が25%,非低Na血・非低比重尿が15%だった。低Na血非低比重尿は水中毒の発生しやすい悪性多飲群として他の良性多飲群と区別しえる。さらに低血清Na値の重度多飲者は水中毒状態にあるものとして第一に予防処置の対象となる。これらの知見は入院精神障害者における多飲者の検出と分類,さらに水中毒の予防に有用と考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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