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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻2号

1988年02月発行

研究と報告

ブロン依存症の離脱後に意識障害を呈した1症例

著者: 吉川領一1 小片寛1 融道男1

所属機関: 1信州大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.183 - P.189

文献概要

 抄録 市販の鎮咳去痰剤「小児用エスエスブロン液」の依存症により幻覚を含む精神症状が出現したが,離脱後に意識障害を起こし,脳波上にも持続性広汎性の徐波を呈した1症例を報告した。患者は29歳の男性で,ブロン液は約6年間乱用した。意識障害は離脱2日後に始まり,12日間にわたり軽度から中等度の意識混濁が続いたが,離脱4日後には意識消失発作を起こした。意識混濁の前半6日間は軽いせん妄の,後半6日間はアメンチアの色彩を呈した。本例の精神症状の発現にブロン液の成分中のmethylephedrineやdihydrocodeine phosphateが関与していることは間違いないが,これら単独では説明できない面があり,ブロン液の各成分の複雑な相互作用によって引き起こされたものと考えられた。また,意識障害もdihydrocodeine phosphateの離脱症状だけによるとは考えにくく,ブロン液の他の成分との相互作用の関与が推察された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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