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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻2号

1988年02月発行

文献概要

研究と報告

じん肺による肺性脳症

著者: 原田正純1 斉藤岬2

所属機関: 1熊本大学医学部遺伝研疫学(精神医学) 2苓北医師会病院

ページ範囲:P.191 - P.195

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 抄録 63歳の女性,ぜん息様症状で入院中に,徘徊,独語,失見当,健忘,物を廊下に投げすてるなどの夜間せん妄状態がみられ精神病院に入院した。症状は直ちに軽快したがじん肺症が発見され,著明な肺機能低下がみられた(%VCが37.3%,%FVCが36.0%,FEV1.0/VCPは23.9%,V25/身長は0.063l/sec,PaO2は56.0など)。O2吸入で良好な状態を保っている。本例は関西に出稼ぎに行き窯業に14年3カ月従事していたが,じん肺が見逃されて精神病院に入院した。
 同様に他にもじん肺患者で脳症状を呈するものが少なくない。75例中3例(4%)にみられた。第2例は脱力,全身の羽ばたき振戦,もうろう状態。第3例は失神発作,もうろう発作,抑うつ気分,起立歩行障害。第4例は全身脱力,もうろう状態,もの忘れなどがみられた。いずれもじん肺管理4の重症でO2吸入で効果がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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