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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻2号

1988年02月発行

文献概要

研究と報告

幻覚妄想状態を呈した結節性硬化症の1例

著者: 牟礼利子1 榊敏幸1 藤井英雄1 森岡洋史1 松本啓1 鮫島秀弥2

所属機関: 1鹿児島大学医学部神経精神医学教室 2枕崎病院

ページ範囲:P.197 - P.201

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 抄録 幻覚妄想状態を呈した結節性硬化症の1例について報告した。主症状は幻聴,作為体験であり,妄想は体系化を示さず,感情面,行動面での障害は認められず,疎通性も良好であることから,結節性硬化症による器質性精神病であると考えた。また,結節性硬化症の分裂病様症状に関しては,以前は緊張病状態,人格解体が主として報告されていたが,近年は幻覚妄想状態を呈した症例のみがみられ,著明な人格解体を呈した症例も認められず,精神分裂病や他の精神障害と同様に,病像の時代的変遷が認められた。そして,この変化は,精神分裂病,神経症,異常体験反応,進行麻痺などにおいて認められる寡症状化,軽症化と同じ方向への変化である。これには薬物療法を含む治療法の進歩や,家族制度,親子関係,疾病感,生活環境,経済状況などを含む広い意味での社会文化的背景の変化などが関与しているものと考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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