icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻2号

1988年02月発行

短報

睡眠時無呼吸症候群を伴った遷延性うつ病の1寛解例

著者: 盛口まどか1 藤田基2 五十嵐文雄3 奥田正英1 伊藤陽1

所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室 2国立犀潟療養所 3新潟大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.207 - P.211

文献概要

I.はじめに
 睡眠中の頻回の無呼吸を主症状とする睡眠時無呼吸症候群sleep apnea syndrome(SAS)は睡眠障害のほかに様々な身体症状,精神神経症状を示すことが知られている3,5,15)。精神症状の中で特に抑うつ症状は昼間の倦怠感や疲労感を伴ってSASの患者に良く見られると言われており7),これらに対しては非鎮静性の抗うつ剤が有効であり14,16),SAS自体も改善して来ると報告されている10)。一方,内因性うつ病では睡眠構造の異常が指摘されており9,13),臨床的にも睡眠障害が高率に出現する。特に遷延化したうつ病では頑固な不眠を訴えることが多い。うつ病の病因論からするとSASにおける抑うつ症状は興味深い問題であるが,うつ病にSASを合併したという症例の報告は少なく2,4,10〜12),両者の関連は明らかではない。
 今回われわれは遷延化したうつ病に睡眠時無呼吸不眠症候群Sleep apnea DIMS(disorders of initiating and maintaining sleep)syndromeを合併し,sleep apnea DIMS syndromeの治療によりうつ病相を離脱させ得た1男性例を経験した。うつ病遷延化の成因論と治療論において示唆に富む症例のように思われたので,若干の考察を加えて報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら