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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻2号

1988年02月発行

文献概要

特別寄稿

分裂病患者の社会適応のための技能訓練

著者: 中込和幸2 福田正人2 平松謙一2 丹羽真一2

所属機関: 1 2東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.229 - P.239

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I.はじめに
 分裂病患者の治療及びリハビリテーションの方略は,分裂病の経過,転帰を説明,予測するモデルから導き出される。このモデルを構成する要素として,(1)生物学的行動学的な脆弱性,(2)環境内に存在する防御因子,増悪因子,ストレッサーの各因子,それに,(3)患者個人のもつ防御因子があげられる。概念的には分裂病は,ストレスに強く影響される,生物医学的な障害としてとらえられるのであり,それは患者の対処のしかた及び患者のもつ力量,環境からの支持の程度によって変わりうるものである。
 分裂病の患者毎の多様性,及び一人の患者についても時期の違いによる多様性を理解するためのこのモデルでは,生物学上,環境上,行動上の各レベルにおける決定因子間のダイナミックな相互作用が重視されている。ある時点における各要素のバランスに依存して,一過性の中間的な状態として精神生物学的な過荷重状態(overload)及び過覚醒状態(hyperarousal)が生じ,この状態は前駆症状やあるいはこの疾患を特徴づける陽性症状にさえ移行することがある。分裂病のこの多元的で相互作用的なモデルの図式を図1に示す。分裂病の症状,生活や職業における障害の期間及び重症度は様々である。また精神症状と生活機能障害の相関の強さも多様で,脆弱性,ストレス,防御及び増悪因子の間の相互作用や時間的経過によって変化する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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