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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻3号

1988年03月発行

研究と報告

外来慢性難治てんかん患者に対するcarbamazepineによる単剤治療の効果

著者: 上杉秀二1 小島卓也1 松浦雅人1 宮坂松衛2

所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室 2独協医科大学精神科

ページ範囲:P.335 - P.344

文献概要

 抄録 発作未消失の外来慢性てんかん患者に,carbamazepine単剤治療を行い,良好な治療成績が得られたので報告する。対象は26例で,平均年齢35.6歳,初発年齢平均17.3歳。全例が部分てんかん(24例が複雑部分発作,2例が単純部分発作から二次性全般発作に移行)だった。〈結果〉(1)CBZ単剤治療に変更前の薬物の種類は平均2.4剤で,脳波は正常が2例,境界が2例,軽度異常が15例,中等度異常が6例で,てんかん波は13例に見られた。(2)CBZ単剤増量の治療により,著明改善が16例(62%)(うち発作消失は9例),改善が1例(4%),不変が9例(34%)で,悪化はなかった。(3)脳波の変化は,改善が4例,不変が21例,悪化が1例で,脳波改善は発作改善例に多かった。(4)CBZ平均投与量は655.6±255.1mg/day,11.5±5.2mg/kg/day,平均血中濃度は10.1±3.1μg/ml。(5)出産時障害,脳脊髄膜炎とその疑いの既往,CT異常および発作性自動症を有する例では,治療成績で不変が多かった。(6)部分てんかん(特に複雑部分発作)の大半の症例は,血中濃度モニターによる充分量のCBZ単剤治療で,発作が抑制されると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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