icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻3号

1988年03月発行

研究と報告

奇妙な精神症状を呈した脳血管性痴呆の1例

著者: 松岡清恵1 小鳥居湛1 野中健作1 坂本哲郎1 加藤一郎1 稲永和豊1

所属機関: 1久留米大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.355 - P.360

文献概要

 抄録 特異な強迫症状を呈し,頭部CTやMRI検査にて興味ある所見を認めた脳血管性痴呆の1例を経験した。器質性脳疾患に認められる強迫症状の責任病巣として,前頭葉を挙げるものが多いが,本症例では臨床経過,頭部CT-MRI検査,脳波所見などを考慮すると,意識野の狭窄を伴い,従来の完全癖がこうじたものと考えられる。また,CT上で認められた淡い両側脳室前角周囲の低吸収域がMRI(SE像)において高信号域を示すという特徴ある所見を認め,これは深部白質の不全軟化巣を示していると考えられる。白質病変を知るのに,MRI検査はCT検査以上に鋭敏であり,Subcortical arteriosclerotic encephalopathy(SAE)またはBinswanger病の疾患的位置付けや生前診断をする上で極めて有力な情報を提供するものであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら