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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻5号

1988年05月発行

研究と報告

恐慌発作を有するうつ病の臨床的検討

著者: 杉原徳郎1 岸本朗1 水川六郎1 石黒忍1 松林実2 高田照男1 青山泰之1 挾間秀文1

所属機関: 1鳥取大学医学部精神神経科 2鳥取中央病院精神科

ページ範囲:P.507 - P.516

文献概要

 抄録 恐慌発作を有するうつ病者について,うつ病と恐慌発作の関係,およびうつ病者で恐慌発作を有するものに対する疾病分類上の位置づけを検討する目的で,その恐慌発作の出現様式や臨床的,治療学的特徴などについて調査した。その結果,恐慌発作を有する躁うつ病者は全躁うつ病者の5.3%(26例)にみられ,恐慌発作を伴わないものとくらべて女性が多く,そのほとんどが単極型うつ病者であった。単極型うつ病者のみに限ってみると,恐慌発作とうつ病相出現の時間的関係から恐慌発作が先行するもの(13例)と,うつ病相が先行するか同時に初発するもの(11例)の2群に区分され,前者は後者にくらべて恐慌発作およびうつ病相の経過ならびに治療薬への反応が良好で,執着性格の比率が高かった。これに対し,後者では経過は不良で薬物治療に抵抗するものが多かった。これらの臨床背景から恐慌発作先行群は恐慌発作を有さないうつ病群と同質のものとして,一方うつ病相先行群はうつ病の病態を基礎にして,二次的に恐慌発作症状が惹起されたものとして理解された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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