文献詳細
研究と報告
日本と中国における精神分裂病の妄想主題—比較文化精神医学的検討
著者: 藤森英之123 鄭瞻培45 木崎康夫67 蔡正奈8
所属機関: 1前東京都立松沢病院精神科 2現東京都立墨東病院神経科 3東京都精神医学総合研究所 4上海精神病防治院 5東京都精神医学総合研究所 6前東京都立松沢病院精神科 7現神奈川県積善会曽我病院 8上海第二医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.517 - P.527
文献概要
宗教妄想と憑依妄想には両国の社会体制と社会文化的背景の違いが鮮明に反映され,日本と中国の家族制度の相違(日本の核家族化と中国の大家族制度)と特に中国の家族「内」・「外」の共食の伝統が被毒妄想に影響し,中国の地域社会では一方で水平的なヨコの人間関係が密で,近隣の噂や監視を警戒し,他方で集団指導体制における国家指導者や軍人といったタテの垂直な対人関係への傾斜がみられ,前者が被害妄想に,後者が誇大と来歴否認妄想に関連することが示唆された。
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