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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻5号

1988年05月発行

文献概要

研究と報告

L-Dopaの著効した脳卒中後遺症による病的笑いの1症例

著者: 中村清史1 石出隆男1 山田準子1 山内一長1 別府道徳2 矢崎俊二3

所属機関: 1東京海道病院 2相和病院 3聖マリアンナ医科大学第三内科

ページ範囲:P.569 - P.573

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 抄録 『病的笑い』は周囲の状況・刺激の大きさと不均衡で,本人にとっても自己の感情にそぐわない自動的・紋切型の笑いと定義されており,種々の器質性脳疾患や神経疾患に認められている。患者は65歳の女性。接枝分裂病で入院中脳卒中発作を併発し,失語症(全→運動性失語症)と四肢麻痺(右側により著明)を遺し,その後顕著な『病的笑い』が持続している。従来『病的笑い』は治療が困難とされていたが,最近L-Dopaが『病的笑い』に著効を示すという報告が得られている。我々もL-Dopaを投与したところ,極めて良好な経過を認めた。L-Dopa投与前後の髄液中のHVA値と5HIAA値をも測定したので併せて報告し『病的笑い』の責任病巣或は発生機序について若干検討を行った。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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