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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻6号

1988年06月発行

研究と報告

ウェクスラー記憶尺度の日本語版研究—分裂病患者と正常者との比較

著者: 木場清子1 中村美智子1 平松博1 山口成良1 倉知正佳2

所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室 2富山医科薬科大学医学部精神神経医学教室

ページ範囲:P.635 - P.642

文献概要

 抄録 Wechsler Memory Scaleを日本語に翻訳,一部修正したものを,正常者40人(男20,女20)と分裂病患者30人(男19,女11)に実施した。正常群では,年齢層が同じ外国の被検者に比べてわれわれの群が視覚再生で高く,自己・最近の知識で低い傾向を認めた。分裂病群の得点は,われわれの群が外国の2報告の中間的な値を示した。正常群と分裂病群を比較すると,いくつかの下位検査で分裂病群のほうが有意に低く,特に物語の再生(論理的記憶)では正常群の約1/2の得点にすぎなかった。これらの結果と最近の分裂病の神経心理学的所見を参考に,分裂病における有意味刺激の情報処理の欠陥を指摘するとともに,従来の「分裂病—左半球障害説」について若干の考察を加えた。日本版WMSにおける設問の変更および記憶指数の適否は,今後の標準化研究によって正されるべき課題であることを指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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