icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻6号

1988年06月発行

動き

ベルン大学児童・青年精神医学講座開設50周年記念シンポジウム

著者: 清水將之1

所属機関: 1名古屋市立大学精神医学教室

ページ範囲:P.659 - P.660

文献概要

 1987年,ベルン大学の児童・青年精神医学講座が開設されて50周年を迎え,これを祝って「児童及び青年に対する精神療法的アプローチ」と題する記念シンポジウムが同地で開催された。シンポジウムの内容を報告する前に,この講座の歴史を簡単に紹介しておきたい。
 独立した児童精神医学講座を持たぬ日本の精神科医にとって,50年という歴史はただちには信じ難いところであろう。ベルン大学の精神医学教室は1868年に現在地Waldauに成人精神障害者の収容施設が設立されたところから出発している。1937年,当時の精神医学教室主任教授であったJakob Klaesi(持続睡眠療法の創始者として知られる)は,教室の1部門としてWaldauの地(現在も,広大な土地に荘麗な600床の病棟や新しい研究室,講堂を備え,精神医学教室と州立精神病院を兼ねている)に児童精神医学観察病棟を設立した。1922年には,班にzurich大学精神科に児童病棟が設立されていたという。このシンポジウムの冒頭で本講座の前任教授W. Zublinが講演したところによれば,初期は施設も治療スタッフも極めて貧弱で,入院児童も若年進行間麻痺から16歳の妊娠女子,痴愚から平均以上の知能者まで雑多な子どもが収容されていたという。その後次第に設備,人員は改善され,機構的にも独立してゆき(ドイツ語圏諸国における精神医学教室の構成については,精神医学大系IA & C,飯塚礼二教授の解説を参照されたい),病棟医長のArnola Waeberが初代の児童精神医学講座の教授となった。Waeberの定年退官に伴い,Walter Zublinが1961年に教授に就任,1986年の定年退官までに,教室発展のために多くの改革を行った。その中には,時代の要請に対応して講座名に「青年」の1語を加えるとか,病棟のIttingenへの移転,新築(1987年完成),旧病棟を12〜16歳の青年のための危機介入施設へ転用,院内学校の開設,ベルン市内に外来診療施設(Poliklinik)の開設,同じく市内の2ヵ所("Albatros"と"Liebegg")に共同住居(ハーフウエイ・ハウスのようなもののようだ)の開設,などが含まれている。1986年,Zublinの後任として,R. Remppの愛弟子Gunther KlosinskiがTubingenから着任して現在に至っている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら