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シンポジウム 地域ケアと精神保健
精神障害者の生活権をめぐって—精神保健と地域ケアの視点から
著者: 滝沢武久1
所属機関: 1財団法人全国精神障害者家族会連合会事務局
ページ範囲:P.709 - P.713
文献購入ページに移動 私の場合,財団法人全国精神障害者家族会連合会の事務局(通称全家連)という立場が示すように,自分の身内に心病む者を抱えている家族の生活体験と,職業として精神障害者の医療,社会復帰機関に勤務した後,より多くの社会復帰の制度や施設づくりこそ重要なポイントだと考えて活動したソーシャルワーカーとしての体験を含めて論じたいと思う。私がまず神奈川県の3保健所のソーシャルワーカーとして,当初具体的な公衆衛生行政の現場で「精神衛生」思想の普及啓蒙という業務にかかわったとき,個人的な動機としては精神病(中心を精神分裂病・躁うつ病)の社会復帰援助活動の展開を考えつつも現実的には保健所の業務遂行上,まず職員間の業務分担と人間関係から,乳幼児の発達相談や結核予防法35条の強制入所の患者の面接,そして老人相談に及ぶ広くかつ多くの心理,精神衛生の面で職業体験をする機会を得た。我が国では,「精神衛生」とか「精神保健」という概念は非常に曖昧で正体不詳の感じを持つが,我が国の精神医療対象の中核を占める精神病の社会復帰活動に焦点を絞り直したとき,私はここで「地域ケア」=「コミュニティ・ケア」とか,「治療共同体」概念と出会ったのである。したがって,私の論点は精神障害者に対する社会復帰援助,または退院者の地域における生活をめぐる諸問題を中心に意見を述べることになるのをお断りしておく。
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