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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻7号

1988年07月発行

研究と報告

てんかん患者にみられる挿間性うつ状態—類似の発作症状と抑うつ状態を呈した母子例を中心に

著者: 竹下久由1 川原隆造1 織田尚生1 田中隆彦1 挾間秀文1

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.761 - P.768

文献概要

 抄録 類似の発作症状と抑うつ状態を経過した母子例を報告し,臨床症状並びに経過の特徴と類似性から,てんかん患者の呈する抑うつ状態について考察した。母親(41歳)は2歳の発熱時に全般性けいれん発作が2度生じたが自然治癒。9〜25歳の間に数分間持続する離人症状を主体とする側頭葉発作が年に1〜2回の頻度で出現。自然治癒した後30歳頃から年に1〜2回,抑うつ気分に妄想様観念を伴う抑うつ状態が生ずるようになった。40歳時治療開始し,carbamazepineにより症状軽快す。子供(16歳,男)は1歳2カ月から6歳の間に数回の発熱時全般性けいれん発作を生じたが自然治癒。12歳時から母親と同様の側頭葉発作が出現し,初期には1〜2カ月に1回の頻度であったが,次第に頻発し,二次性全般化を伴うようになった。16歳時治療開始しclonazepamにより発作は消失した。その後一過性に母親と類似の抑うつ状態が約3週間持続したが軽快し,発作症状も消失し現在に至る。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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