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抄録 悪性症候群(NMS)の22例(剖検3例)について検索し,病理学的所見,筋肉系異常,治療について述べ,さらに合併症として急性腎不全を指摘した。後遺症を残さず回復する回復可能群:自律神経系障害を中核として,錐体外路反応としての筋緊張亢進や意識水準の低下を認め,適切な治療により後遺症なく回復する定型的症例群。血清筋肉系酵素の上昇は必発したが,それは臨床症状の重篤度と相関せず,特異的な筋の組織学的異常もない。生検筋のskinned fiber法(6例中2例)やhaloperidolに対する収縮過感受性試験(6例中3例)で陽性を示した症例を認めた。なおnon-rigidity型NMSを5例,異なる系統の薬剤で再発した1例を認めた。回復不能群(4例):NMS回復後に不可逆的脳障害などを残遺する症例群。小脳失調のみを後遺症とした2例と,高度な小脳・錐体外路症状および筋原性筋萎縮を残遺した重症2例があり,後者の病理ではPurkinje細胞-小脳遠心路-視床系に選択的な系統崩壊を認め,同系もNMSの発症に関与している可能性が示唆された。
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