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研究と報告
妊婦の精神病に対する無けいれん電撃治療の有効性と安全性について
著者: 中島一憲1 守屋裕文1 正岡直樹2 渡辺嘉彦3
所属機関: 1東京都立広尾病院神経科 2東京都立広尾病院産婦人科 3東京都立広尾病院麻酔科
ページ範囲:P.907 - P.914
文献購入ページに移動症例は23歳の女性,妊娠中に症状増悪した精神分裂病の患者であり,精神運動性興奮が強いため自傷行為や不慮の事故による早産の危険が予測された。まず薬物療法を開始したが,十分な効果が得られず,薬物が原因と考えられる胎児の中枢神経系抑制が胎児監視装置により確認された。そこで,産婦人科,麻酔科の協力を得て,母体および胎児の全身状態のモニタリングを行い,筋弛緩剤使用による全身麻酔下無けいれん電撃治療を手術室において施行した。通電直後,一過性の子宮収縮がみられたが,胎児側には著変を認めなかった。30週から32週にかけて計6回施行した結果,十分な鎮静化が得られ,36週で無事分娩を終了した。また,新生児に発育障害は認められなかった。最後に妊婦に対する電撃治療と薬物療法について考察を加えた。
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