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特集 世界の精神科医療の動向
カナダの精神科医療—地域精神医療におけるボランタリー団体の発展
著者: 井上新平1
所属機関: 1高知医科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.977 - P.984
文献購入ページに移動I.はじめに
「バンクーバーの街には,アメリカの大都会にみられる精神障害者とおぼしき多くの浮浪者が極めて少ない」というのが,この都市に来た人たちの一般的感想のようである。このような感想がカナダのすべての都市に妥当するものか,はっきりとしたことはわからないが,カナダの精神医療を象徴しているように思われる。
1960年初頭にはじまったアメリカのいわゆる「脱精神病院化運動」,地域医療の促進は,数年後にカナダにも及んだが,カナダでは徐々に大規模精神病院の縮小,総合病院精神科の拡充と入院日数の短縮化,精神衛生センター等地域医療機構の新設による患者の早期発見と継続医療の体制的保障,及び地域における住居やリハビリ施設等の諸支持機構の新設などを実現しつつ現在に至っている注1)。
「バンクーバーの街には,アメリカの大都会にみられる精神障害者とおぼしき多くの浮浪者が極めて少ない」というのが,この都市に来た人たちの一般的感想のようである。このような感想がカナダのすべての都市に妥当するものか,はっきりとしたことはわからないが,カナダの精神医療を象徴しているように思われる。
1960年初頭にはじまったアメリカのいわゆる「脱精神病院化運動」,地域医療の促進は,数年後にカナダにも及んだが,カナダでは徐々に大規模精神病院の縮小,総合病院精神科の拡充と入院日数の短縮化,精神衛生センター等地域医療機構の新設による患者の早期発見と継続医療の体制的保障,及び地域における住居やリハビリ施設等の諸支持機構の新設などを実現しつつ現在に至っている注1)。
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