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研究と報告
相貌認知の障害や視覚的記銘障害などを呈した右後頭葉梗塞の1臨床例
著者: 鈴木利人1 大福浩二郎1 白石博康1 小泉準三1 能勢忠男2
所属機関: 1筑波大学臨床医学系,精神医学 2筑波大学臨床医学系,脳神経外科
ページ範囲:P.999 - P.1006
文献購入ページに移動相貌認知の障害には,視知覚の障害と視覚刺激に関する記憶想起の障害などがあるといわれているが,本例は前者に属すると思われた。本例の特徴は,変形視に相貌変形視を認め,また非言語的視覚刺激では未知相貌の識別にのみ障害が認められたことであり,このことから右半球のみの障害でも相貌認知に関連のある障害を呈し,特にその役割は視知覚や認知の段階で重要と思われた。また熟知相貌の失認の成立には,さらに左半球の障害すなわち両側後頭葉の障害が必要ではないかと考えられた。
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