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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻9号

1988年09月発行

文献概要

研究と報告

相貌認知の障害や視覚的記銘障害などを呈した右後頭葉梗塞の1臨床例

著者: 鈴木利人1 大福浩二郎1 白石博康1 小泉準三1 能勢忠男2

所属機関: 1筑波大学臨床医学系,精神医学 2筑波大学臨床医学系,脳神経外科

ページ範囲:P.999 - P.1006

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 抄録 症例は60歳の男性である。右後大脳動脈領域の梗塞により急性期に遷延性の意識障害を呈したが,その後神経心理学的に視覚的および視空間的記銘障害,変形視(相貌変形視を含む),未知相貌に関する識別障害などが認められた。
 相貌認知の障害には,視知覚の障害と視覚刺激に関する記憶想起の障害などがあるといわれているが,本例は前者に属すると思われた。本例の特徴は,変形視に相貌変形視を認め,また非言語的視覚刺激では未知相貌の識別にのみ障害が認められたことであり,このことから右半球のみの障害でも相貌認知に関連のある障害を呈し,特にその役割は視知覚や認知の段階で重要と思われた。また熟知相貌の失認の成立には,さらに左半球の障害すなわち両側後頭葉の障害が必要ではないかと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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