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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻1号

1989年01月発行

研究と報告

慢性覚醒剤中毒の臨床—知見補遺

著者: 藤森英之12 坂口正道3 中谷陽二2

所属機関: 1東京都立墨東病院精神科 2東京都精神医学総合研究所 3東京都立松沢病院精神科

ページ範囲:P.69 - P.78

文献概要

 抄録 本邦には覚醒剤中毒に関する論文は無数にあるが,著者らは頻回の再燃を繰り返し慢性の経過をとる覚醒剤中毒4例について,精神症状の遷延化のなかで,病的体験の諸相,意識状態,感情障害と人柄の変化を取り上げ検討した。1)慢性例では急性期の自己の行動が見透かされ露にされ,外部からの干渉や侵害といった体験(専守防衛体勢)から非体系的な誇大妄想(自我肥大感)への体験変遷がみられ,2)いくつかの感覚領域に同時に幻覚の出現する共感幻覚,直観像,時に域外幻覚が問題になり,幻覚や錯覚相互の相即不離の体験野が存在し,3)慢性覚醒剤中毒ではBonhoefferの外因反応型の経過にみる意識障害はほとんどなく,覚醒剤大量注射,飲酒,心因性ストレスなどによる急性一過性の意識レベルの変容の可能性が示唆され,4)覚醒剤中毒例の遷延・慢性化例では,感情状態と人柄の変化の両者が緊密な関係にあることを強調した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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