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研究と報告
母親殺害事件を惹き起こしたAnorexia Nervosaの1例
著者: 田宮聡12 池沢明子1 齊藤正彦1 堀田直樹1 金子嗣郎1
所属機関: 1東京都立松沢病院精神科 2広島大学医学部精神科
ページ範囲:P.79 - P.86
文献購入ページに移動本症例は,患者14歳の時に腹痛に対する恐怖からの不食という形で発症し,患者の身体・精神症状,指導性のない父親・過保護な母親といった家庭内力動などの点から典型的な症例であった。患者の病前性格には,自己中心的・わがまま・未熟といった傾向が認められた。また,母娘間の両価的感情結合が特に顕著であり,母親に対して甘えと攻撃性の両価的感情を抱いていた患者が,その極限状態において,母親の拒否的な態度に怒りを覚えて殺害行為に及んだものと推察された。
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