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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻10号

1989年10月発行

文献概要

研究と報告

医師用および患者用CPRG抑うつ症状評定尺度の因子水準における比較

著者: 吉野祥一1 鈴木尊志2 辻本英夫3 大野京介1 長尾圭造1 赤埴豊1 奥田治1 前久保邦昭4 川北幸男4

所属機関: 1大阪市立桃山市民病院精神神経科 2産業医科大学精神医学教室 3大阪市立大学文学部心理学教室 4大阪市立大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1037 - P.1045

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 抄録 医師用と患者用のCPRG抑うつ症状評定尺度を用いて,うつ病患者125症例を評定して得られたデータに,階層的主成分分析を適用し,各尺度ごとの潜在因子と,尺度間での因子得点間相関を同時に算出し,因子水準での関連性を探索した。医師用尺度の第I〜V因子は,「抑うつ・抑制症状」,「妄想様観念」,「精神的不安」,「身体症状」,「心気症状」と解釈され,患者用尺度の第1〜6因子は,「悲嘆」,「自信喪失」,「心配」,「身体症状」,「疲労感」,「活力減退」と解釈された。因子得点間相関行列では,医師用と患者用尺度のはじめの5因子が各々対応して中程度以上の相関を示し,因子解釈の対応とほぼ一致した。一方,患者用尺度の第6因子の「活力減退」は,医師用尺度のどの因子ともほぼ無相関で対応するものがなかった。この結果に対し,精神病理学的観点から検討を加えるとともに,方法論的問題についても論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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