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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻10号

1989年10月発行

文献概要

紹介

—精神分裂病の最近の話題・1—精神分裂病の発病,経過および治療と家族内の要因

著者: 岡崎祐士2 道辻俊一郎2 中根允文2

所属機関: 1UCLA心理学 2長崎大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.1077 - P.1083

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■はじめに
 私はこの論文で3つの点について述べる。それは精神分裂病患者の家族内における人間関係が精神分裂病の発病可能性と関連するか否か,家族内の関係のあり方によって発病後の短期経過を予測できるか否か,そして,家族レベルへの働きかけによって分裂病の短期経過を変えうるか否かの3点である。
 論述の理論的基礎は,素因—ストヒス・モデル(Rosenthal,1970)にある。このモデルによれば,ある個人の分裂病に対する脆弱性は,ある種の生物学的素因と,成長期および発病前後の生活ストレスの衝撃との関数的総和によることが示唆されている。したがって,この生物学的素因と集積された生活ストレスとの相互作用効果を述べることにする。また,このモデルは分裂病の経過を考える上でも有用である。発病後には脆弱性が存続し,それがストレスと作用し合って,再発をも左右すると考えられるからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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