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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻11号

1989年11月発行

文献概要

展望

病的嫉妬に関する精神病理学的研究の流れ

著者: 田中雄三1

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1126 - P.1137

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Ⅰ.序論
 「嫉妬」とは何かと改めて考えてみるとき,おそらく万人が体験しているであろうこの感情に対して,何らかの明快な説明あるいは定義を下すことは困難なことに思われる。嫉妬は,ひとつの持続した情念,感情の世界の事柄であるから,それを言語化することは容易ではない。
 広辞苑によると,嫉妬は,(1)男女感のやきもち,りんき,(2)優越者をねたみ憎悪する感情,ねたみ,そねみ,と説明されている。しかし,このように説明された嫉妬からは嫉妬が本来内在させている生々しい感情は伝わってこず,むしろ古今東西の文学作品の中の男女の心理描写のうちに嫉妬の実体が見事に浮き彫りにされている場合が少なくない注1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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