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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻11号

1989年11月発行

文献概要

研究と報告

側頭葉てんかん患者にみられた精神症状と側頭葉切除術の影響—Maudsley Hospitalにおける若年手術例に関する検討

著者: 斎藤正彦12

所属機関: 1 2(現)東京都立松沢病院

ページ範囲:P.1139 - P.1147

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 抄録 Maudsley Hospitalにおいて側頭葉切除術を受けた難治性側頭葉てんかん,20例について発作間欠期の精神症状の予後を調査した。20例のうち12例が術前または術後に何らかの精神症状を呈していた。症状の内訳は性格障害5例,神経症症状3例,小児期の行動障害2例,精神分裂病様症状1例,側頭葉切除後間もなく衝動行為を伴う不機嫌状態を頻回に繰り返す特異な精神症状を呈するようになったもの1例であった。調査時点で精神症状治癒5例,遷延6例,死亡1例であった。精神症状の発現には側頭葉てんかんに特異的な障害よりも,出生時仮死や熱性けいれんといった一般的な脳の器質的障害をきたすと思われるエピソードが強く関与していることが示唆された。側頭葉切除による脳の器質的変化は,多くの症例において精神症状に質的変化を及ぼしていなかった。発作のコントロールの程度,患者の性格傾向などが精神症状の予後を決定する上で重要な因子になると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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