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研究と報告
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抄録 30症例の側頭葉てんかんにMRIを施行した。その結果,異常所見の有無から全例を正常群と異常群に大別した。さらに異常群を脳に萎縮がある群とない群に二分し,萎縮がある群は側頭葉に萎縮がある群と側頭葉以外に萎縮がある群に分けた。そして発病年齢,罹病期間,発作型,脳波像,既往歴などの臨床的な特徴について正常群と異常を示した群を比較検討した。その結果,異常群は18例であり,そのうち萎縮のある群が13例と最も多かった。これらの異常群では罹病期間が長い,複雑部分発作と二次性全般化発作の併有が多く単一発作はない,一側性の棘波焦点が多い,既往歴を有するといった特徴がみられた。また一側の側頭葉に萎縮を認めた9例のうち6例で萎縮側と棘波の焦点側が一致した。MRIは側頭葉てんかんの器質的原因の検索に有用であり,MRIでの側頭葉の萎縮所見とてんかん病態との間には一定の関連があるものと思われた。
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