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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻11号

1989年11月発行

文献概要

研究と報告

恐怖症・強迫神経症治療の新しい試み—皮膚電気刺激による制御法

著者: 山下剛利1 藤本臤三1 石村栄作2 久保一弘2

所属機関: 1徳島大学医学部附属病院精神科神経科 2藍里病院

ページ範囲:P.1165 - P.1173

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 抄録 1)恐怖症・強迫神経症に対する行動療法の評価は高まりつつあるが,まだ多くの弱点を有している。著者らは微弱電気刺激による痛覚刺激を頭頂または手掌に当てながら,イメージまたは現実場面において不快感を誘発し,それに耐えさせるという簡単な方法を考案した。1回30分,週2回,約6カ月間の治療で約80%の著効を認めた。
 2)3症例を通して,著者らの治療法の治療機転について検討した。その結果,弱い痛覚刺激によって,恐怖症に伴う自律神経症状が急速に消褪し,強迫観念についても症状消褪と同時に合理的な思考が浮上するという結果を得た。また,強迫行為を伴う例では不快感の出現は弱いが,治療継続により症状が階段状に解消されていくことがわかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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