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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻11号

1989年11月発行

研究と報告

事象関連電位P300成分と精神分裂病の陰性症状

著者: 緒方明12 葉山清昭13 岡田久則14 上妻明彦15 沼田陽市1 宮川太平1

所属機関: 1熊本大学医学部神経精神医学教室 2現:熊本大学教育学部 3現:坂本病院 4現:飯塚病院 5現:国立療養所菊池病院

ページ範囲:P.1175 - P.1182

文献概要

 抄録 事象関連電位P300成分と精神分裂病の症状との関連を検討した。検討対象は,DSM-Ⅲのschizophrenic disordersを満足し,立津の対人反応障害が認められ,P300が同定され得た25症例である。対照には正常者25症例を用いた。課題にはoddballのparadigmを,症状評価尺度にはBPRSとSANSを用いた。統計にはSpearmanの順位相関を使用した。
 分裂病者では対照に比し有意に潜時が延長していた。P300成分と陽牲症状には相関は認められなかった。潜時と陰性症状には正の相関があり,潜時が延長しているものほど陰性症状が強かった。振幅は潜時より陰性症状との相関が低かった。「働きかけに対する視線の動き」を評価項目として設定すると,この項目が潜時の延長と最も正の相関が強かった。このことは,働きかけに対する目を中心にした顔の表情の動きに重きを置く「対人反応」とP300成分の潜時との関連を示唆した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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