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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻11号

1989年11月発行

文献概要

研究と報告

戦後のわが国における自殺死亡率のcohort分析

著者: 佐藤哲哉1 佐藤新1 小林慎一1

所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1207 - P.1215

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 抄録 戦後のわが国における自殺死亡率のcohort分析を行った。男性15〜29歳,女性15〜39歳では,より新しいcohortほど低い自殺死亡率を示し続けるというcohort effectが認められた。男性30〜54歳,女性40〜49歳では,1970年を境に全てのcohortでほぼ同時に自殺死亡率の上昇が認められた。青年期と中年期の自殺死亡率の間には,一定の相関を認めることができなかった。55歳以上では,男女共より新しいcohortほど低い自殺死亡率を示し続けるという現象がみられた。青年期における自殺死亡率のピークは,男性の近年のcohortでは消失していたが,女性では消失していなかった。これらから,自殺死亡率に対するcohort effectの意義は若年層に最も強く中年期には消失してしまう可能性,近年の中年期の自殺増加はcohort effectよりも社会的要因によって強く規定されていること,近年個人が青年期危機を通過する過程が男女間で相違している可能性を指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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