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短報
緊張病症状を伴う治療抵抗性精神分裂病に炭酸リチウム投与が有効であった1症例
著者: 野田恭平1 渡辺義文1 榎田雅夫1 樋口輝彦1 山内俊雄1
所属機関: 1埼玉医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.1217 - P.1220
文献購入ページに移動リチウム塩が精神科臨床に導入されて40年の間に,様々な疾患に対するその治療経験が集積されてきた。特に情動障害を伴う各種疾患や,精神分裂病を含む疾患での感情の障害,興奮性,易刺激性などの随伴症状に対するリチウムの効果が確認されている一方で,精神分裂病そのものに対する有効性については否定的な意見も多い7)。
今回,私たちは,初発時には抗精神病薬が有効であったが,約9年の寛解期を経て再発した時点では抗精神病薬に反応せず,入院中,治療抵抗性の緊張病性興奮や昏迷を繰り返した精神分裂病患者で,炭酸リチウム併用により,症状の顕著な改善をみた例を経験したので報告する。
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