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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻11号

1989年11月発行

文献概要

紹介

—精神分裂病の最近の話題・2—精神分裂病の薬物療法における薬物特性

著者: 大月三郎1

所属機関: 1岡山大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1225 - P.1229

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■はじめに
 精神分裂病の主要な治療薬である抗精神病薬は化学構造は異なっていても,共通した薬理学的作用として抗ドーパミン作用を持つことから,精神分裂病と脳内ドーパミン機能との関連が推定されている。中枢におけるドーパミン受容体にはアデニール酸シクラーゼ抑制系あるいはこれと連鎖しないD2受容体と,アデニール酸シクラーゼ促進系であるD1容体が区別されている7)。抗精神病薬の奏効する症状は主として急性期の幻覚妄想状態であるが,従来この作用はD2受容体遮断作用によるものとされてきている。しかし,最近では特異的なD1遮断薬やD1作動薬が開発されたことに伴って,D1受容体の機能についての関心が強まってきている。また,精神分裂病の様々な症状に対して,抗D2用を比較的純粋にもつ薬物と,抗D2作用に加えて抗D1作用を持つ薬物あるいはドーパミン以外の神経伝達物質,例えばノルアドレナリンとかセロトニンなどへの拮抗作用の強い薬物などで効果に差異があるかどうかを知ることは,臨床上重要な意義を持っている。
 一方,抗精神病薬は副作用の多い薬物であるが,なかでも遅発性ジスキネジアや遅発性ジストニアはいったん発症するとなかなか改善しない副作用であり,注目を集めている。その発症機序については不明なところが多く,また,研究を始めたばかりの段階であるが,これらとの関係が推察されるものの1つに薬物のもつシグマオピオイド受容体への親和性がある16)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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