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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻12号

1989年12月発行

研究と報告

35年間にわたり軽躁と抑うつを反復する躁うつ病の1例—病相周期に関する時間生物学的検討

著者: 水川六郎1 石黒忍1 岸本朗1 小椋力2 挾間秀文1

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神科 2琉球大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.1277 - P.1282

文献概要

 抄録 軽躁と抑うつを約35年間にわたり規則的に繰り返してきた,79歳の女性症例について,その経過を縦断的に調査した。その結果,①躁うつ各病相はほぼ規則的,対称的に出現するとともに,加齢に伴い各病相日数が35年間で平均21日から28日へと延長していた。②季節による病相日数の変動をみた場合,夏期,冬期において躁病相がうつ病相と比較して2〜3日延長していた。③躁からうつへの移行は数日をかけて徐々に起こっていた。一方,うつから躁への移行は比較的急激,明瞭で,調査した64回の躁転のうち52回(81%)が午後11時から午前8時までの夜間に起こり,さらにその中で午前2時から午前6時と特定できるものが28回にのぼった。
 これらの結果は,本症例の病因に生体リズム機構の何らかの異常が存在することを示唆しており,時間生物学的観点から若干の考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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