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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻12号

1989年12月発行

研究と報告

特異な言語症状を呈した辺縁系痴呆の1例

著者: 波多野和夫1 松田芳恵2 岡本興一3 浜中淑彦4

所属機関: 1国立京都病院精神神経科 2市立舞鶴市民病院言語室 3静岡県立総合病院神経内科 4名古屋市立大学精神神経科

ページ範囲:P.1297 - P.1303

文献概要

 抄録 辺縁系痴呆の一自検例の臨床報告を行い,その精神症状と言語症状について考察した。症例は原因不明の呼吸停止による無酸素脳症の後遺症と考えられ,X線CTとMRIの所見より両側の側頭葉と前頭葉の内側・底面にほぼ対称的な病変の広がりが推定された。精神症状としてはKluver-Bucy症候群に該当する行動異常(変形過多,口唇傾向,情動障害,食行動異常,等),健忘症候群,性格変化,言語障害,書字・描画障害が認められ,その背景に著しい人格解体が想定された。口頭言語症状は,経過の上で3期を分かつ変化を示したが,基本的にはジャルゴン様発話,語間代またはそれに近縁な語音反復,発話発動性低下という3つの要素の消長として理解可能であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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