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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻12号

1989年12月発行

文献概要

研究と報告

多彩な精神症状を呈した正常圧水頭症の1症例

著者: 田口博之1 杉田知己1 為房計友1 大原健士郎1 山本清二2

所属機関: 1浜松医科大学精神神経医学教室 2浜松医科大学脳神経外科学教室

ページ範囲:P.1305 - P.1310

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 抄録 ヒステリーの疑いで入院し,その後,正常圧水頭症と診断され,脳室—腹腔内短絡術により症状が劇的に消失した1症例を報告した。正常圧水頭症の症状は,いろいろな経過をとりうるものであり,また明らかな巣症状を示さないために,ヒステリー,あるいは老年痴呆との鑑別は容易ではない。しかし脳室一腹腔内短絡術の効果は劇的であり,「治癒しうる症候群」として正常圧水頭症を位置づけることは重要である。精神科領域でヒステリー,あるいは老年痴呆と診断され,治療されている症例の中に,このような正常圧水頭症が存在する可能性が高いと思われる。従って,痴呆,歩行障害,尿失禁を示す高齢者では,正常圧水頭症を鑑別する必要があると思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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