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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻12号

1989年12月発行

文献概要

研究と報告

Y-516の精神分裂病に対する長期投与試験

著者: 猪狩中1 花田照久1 下島秀一1 大賀哲夫2 橋本俊明3 押尾雅友4 稲葉秀邦5 田鹿好昭5 金英雄5 安藤利道5 井上道雄1 竹村堅次1

所属機関: 1昭和大学医学部精神医学教室 2昭和大学病院附属烏山病院 3大内病院 4日立梅ケ丘病院 5埼玉森林病院

ページ範囲:P.1317 - P.1325

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 抄録 精神分裂病患者27例に,Y-516を6カ月〜13カ月にわたり投与し,有効性と安全性を検討した。最終全般改善度は,「中等度改善」以上が59%,「軽度改善」以上が89%であり,「軽度悪化」以下は4%であった。精神症状の評価に用いたBPRSでは,「誇大性」「幻覚」「思考内容の異常」「疑惑」等に対する改善率が高く,優れた抗精神病作用を有するとともに「運動減退」「不安」「抑うつ気分」に対しても高い改善率が得られた。Y-516の投与量は150mg/日以下で維持される症例が多く,長期投与による効果の減弱傾向もなかった。副作用は,錐体外路症状が中心で,ねむけなどもみられたが,いずれも軽微であった。臨床検査所見では,一過性または軽度の異常が認められた症例があったが,試験期間中に投与を中断した例はなかった。有用度は,「かなり有用」以上59%,「やや有用」以上を含めると89%を占め,「やや好ましくない」以下は4%であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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