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短報
炭酸リチウム投与中に洞機能不全を来たした1例
著者: 切池信夫1 木岡哲郎1 福島淳2 井上幸紀1 副島清史1 秋岡要3 竹内一秀3 川北幸男1
所属機関: 1大阪市立大学医学部神経精神医学教室 2北野病院精神科 3大阪市立大学医学部第一内科学教室
ページ範囲:P.1331 - P.1335
文献購入ページに移動炭酸リチウム(以下リチウムと略す)の心臓血管系に対する副作用の報告は,神経系や腎機能に関するものに比べて極めて少ない。リチウムによる心電図上の変化としては,治療濃度において可逆的なT波の平坦化や逆転,QT延長,洞房ブロック,房室ブロック,心房および心室性期外収縮などが,中毒濃度においてはこれらに加えて右脚ブロック,心房粗動,心室細動などが報告されている11,17,19)。
今回我々は,13年間にわたりリチウム療法を受けていたところ,リチウム中毒と洞房ブロックによる徐脈性不整脈をきたし,リチウムの減量によりこれらの改善を認めた躁うつ病の1例を経験した。リチウムと洞機能不全の関係について若干の文献的考察を加えて報告する。
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