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紹介
自殺と医療過誤—アメリカの精神科医療に見たその防止策について
著者: 高橋祥友1
所属機関: 1山梨医科大学精神神経医学教室
ページ範囲:P.1347 - P.1353
文献購入ページに移動I.はじめに
この論文の目的は,アメリカの精神科医療における自殺に関する医療過誤と医療過誤訴訟の防止策について紹介することにある。私は1987〜1988年度フルブライト研究員として渡米する機会を与えられた。主な目的はアメリカ合衆国における自殺予防活動の実際を研究することであったが,今回の渡米はそれ以外にも思わぬ副産物をもたらした。異国の精神科医療を見聞することは,当然のことながら,文化,経済,自由の概念,人権,法律の差にも関心を向けるきっかけともなった。
周知の通りアメリカは訴訟社会であり,医療の現場においても,それはあてはまる。科によっては,医療過誤の訴訟に負けた結果廃業する医師が増えたり,高騰する賠償保険がさらに治療費の上昇に結びつくといった事態を招いている。医療過誤の訴訟を起こされたアジア系移民の医師が自殺するといった事件すら私の滞在中に起きたほどであった。
この論文の目的は,アメリカの精神科医療における自殺に関する医療過誤と医療過誤訴訟の防止策について紹介することにある。私は1987〜1988年度フルブライト研究員として渡米する機会を与えられた。主な目的はアメリカ合衆国における自殺予防活動の実際を研究することであったが,今回の渡米はそれ以外にも思わぬ副産物をもたらした。異国の精神科医療を見聞することは,当然のことながら,文化,経済,自由の概念,人権,法律の差にも関心を向けるきっかけともなった。
周知の通りアメリカは訴訟社会であり,医療の現場においても,それはあてはまる。科によっては,医療過誤の訴訟に負けた結果廃業する医師が増えたり,高騰する賠償保険がさらに治療費の上昇に結びつくといった事態を招いている。医療過誤の訴訟を起こされたアジア系移民の医師が自殺するといった事件すら私の滞在中に起きたほどであった。
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